「住職兼務・不在1万2000寺 過疎後継者不足で10年間で434寺消滅」
朝日新聞に掲載されたこの記事を目にし、将来、実家の寺院を継ぐ立場にある私は大きな不安に駆られた。卒業論文のテーマが決まった瞬間である。フィールドワークを重ね、そこで得られた生きた情報をもとに、近世文書をも読み解きながら人口減少の進む地域で寺はいかに住民とともに生きるのかを考えた。民俗学、地理学、 歴史学を横断する内容の濃い卒業論文に仕上がった。
写真:出口ゼミで共に学び、互いに高め合った仲間との一枚
歴らぼ(歴史文化らぼ)は、甲南大学文学部歴史文化学科の学生と教員が共に活動し、歴史文化に関わる事象を実践的に学ぶ場です。
私は卒業論文でイタリア統一期のガリバルディの南イタリア遠征について研究しました。今回はイタリアの統一を内部からの視点ではなく、外国との関係性の中から分析しました。主にアメリカの市民団体を研究対象とし、アメリカの市民団体が国境を越えて、イタリアの国家統一運動に参加する意味を研究しました。19・20世紀は「ナショナリズムと国家の世紀」であり、様々な「国家」が誕生しました。しかし、その誕生は自国のみで行われたことではなく、国際的な関係性の中で行われたことを再確認しました。
写真:ガリバルディ
(引用元:「MUSEO NAZIONALE DELLA CAMPAGNA GARIBALDINA DELL’AGRO ROMANO PER LA LIBERAZIONE DI ROMA」HPより)
日本でも圧倒的な人気を誇る印象派の絵画。アメリカにおける印象派普及の立役者として名高い人物にメアリー・カサットという人物が挙げられる。彼女は、画家でもありコレクターでもあり、アドヴァイザーでもあった。彼女の助言をもとにアメリカのコレクターたちは印象派の絵画を収集していった。
彼女の助言の内容とはいかなるものだったのか。彼女自身が残した書簡資料をもとにアメリカにおける印象派普及の実態を探った。
図:「孫たちに本を読んでやるカサット夫人」
(1880年、ミニー・カサット氏所蔵)
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