2024年度卒業論文・福重湖雪(髙田ゼミ):近代日本におけるクリスマスの定着と贈答慣行の変化 ー「自発的贈与」の誕生と「義務的贈与」との共存-

本論文は、近代日本におけるクリスマスの定着過程と、それが日本の伝統的な贈答慣行に与えた影響を分析した。明治大正期の『風俗画報』『主婦の友』「読売新聞」「朝日新聞」などの一次資料を分析した結果、1910年代には都市部でクリスマスが宗教行事ではなく、家庭内の贈答文化として浸透していたことが明らかになった。また、歳暮が「社会的義務」として贈られるのに対し、クリスマスプレゼントは「自由な贈与」として定着した点を、モースの『贈与論』を基に考察した。義務的贈与と自由な贈与は異なる形をとりながらも、どちらも「人と人とのつながり」を深めるという本質を共有し、現代においても形を変えながら共存していることを論じた。

「クリスマスプレゼント」 (出典)『主婦の友』第2巻、12月號、1918年、78-79頁

歴文的部活動の紹介04:能楽研究会

私の所属する能楽研究部(文化会)は、能や狂言の練習と実演を行っています。普段はiCommons地下1階の歌舞伎・能楽練習室で卒業した先輩方に教えて頂きながら、それぞれの演目を練習しています。仕舞をメインに練習していますが、最近はお囃子(楽器)や狂言などにも活動の幅を広げ、各々興味があるものにチャレンジし、楽しく自由に活動しています。お囃子は学内での練習だけでなく師匠のもとへお稽古にも行きます。学園祭では甲友会館で実際に能を披露します。昨年の8月には関西の他大学との合同舞台に参加しました。部員も初心者から始めた人がほとんどなので、大学から新しいことを始めてみたい人にもおすすめの部活動だと思います。(2回生・天知由樹恵)

歴旅班、夢二の美人画と中国陶器を鑑賞

 2025年2月16日、歴史の旅企画班は大阪のあべのハルカス美術館と東洋陶磁美術館を訪れました。前者では、“生誕140年 YUMEJI展大正浪漫と新しい世界”展を見学し、竹久夢二が残した多数の美人画から理想の女性像を追い求め続けた生き様が感じられました。作品からは、大正浪漫的様式もさることながら、米騒動や不況による失業者の増大や農民の生活苦など、困窮する人々への共感が見られました。大正時代は短い期間でしたが、社会や文化などの幅広い分野で変化が生じた時代であったと実感しました。後者では、日本・中国・朝鮮で作られた様々な陶磁を見学しました。その美しさはさることながら、絵付けや陶磁器自体に込められた願いや思いが、単なる碗や瓶などから一線を画す芸術作品に昇華させたと思いました。巡検では絵画と陶磁の二つの美術作品を見学し、時代や場所、表現のかたちは異なれど、人間の美術に対する普遍の飽くなき探求心や向上心というべきものを実感しました。(2回生・高橋直希)

第18回歴かふぇ「金剛寺領天野谷にみる中世社会:金剛寺文書の調査を踏まえて」

2025年1月17日、編集部では、歴文専門科目「日本史史料研究I」を担当する永野弘明先生をお招きし、第18回・歴かふぇを開催しました。永野先生は日本中世の荘園制と在地社会の関わりを研究しています。女人高野で知られた金剛寺領の天野谷に注目し、中世の地方寺院における寺領経営についてお話し頂きました。それは現在調査中である多くの史料を活用して中世の人物や勢力を理解するもので、発見された史料の解読を通じ、新たな事実を見つける面白さを学びました。このことは私たちが研究するにあたって勉強になりましたし、歴史を探究するうえでの刺激となりました。(2回生・藤本茉由/ポスター制作:2回生・前田早紀)

鳴海ゼミ巡検:名古屋市周辺

2024年12月22・23日、鳴海ゼミの2・3回生は、巡検で名古屋市を訪れました。初日は、トヨタ産業技術記念館のほか、中心街(名古屋タワー、久屋大通り公園など)や大須商店街を訪れました。トヨタ産業技術記念館では、体験型の展示やスタッフの方の解説や実演などを通して、繊維機械や自動車技術の発展を知ることができ、面白かったです。特に自動車技術に関しては、現在の自動車の近づく過程が見られ、興味深く感じました。翌日は、大須商店街の喫茶店で、名古屋名物のモーニングで有名な小倉トーストを食べました。焼き立てのパンに小倉餡をのせて、とても美味しかったです。その後は名古屋のシンボルである名古屋城を訪れ、実際に本丸御殿の中に入り、内部の障壁画や彫刻欄間などを見ました。部屋ごとに異なる障壁画は、非常に綺麗で見応えがありました。2日目は一部別行動になったので、熱田神宮(草薙館)、名古屋県庁、リニア・鉄道館に行ったグループもありました。今回の巡検では、名古屋の歴史や文化に触れられただけでなく、ゼミ内での親交も深めることができたため、貴重な機会となりました。(2回生・竹中杏朱)

歴史の旅企画班の巡検:奈良

2024年12月15日、歴史の旅企画班の巡検で奈良を訪れました。今回は、今西家書院と志賀直哉邸、新薬師寺を訪れ、奈良の誇る歴史と文化に触れました。最初に訪れた今西家書院は室町時代の書院様式を残す貴重な文化財で、当時の人々の生活の様子に思いを馳せつつ、庭園の美しい景色を堪能しました。次の志賀直哉邸は「小説の神さま」とも名高い文豪・志賀直哉が生活と執筆活動の場として過ごした邸宅であり、特に和洋の美が入り混じるサンルームでは、時間を忘れて過ごしてしまうほど居心地の良さを感じました。最後の新薬師寺では、国宝の薬師如来坐像と、囲むように並ぶ十二神将立像を拝観しました。木彫の薬師如来と塑像の十二神将は、どちらも力強い印象を受け、見るものを圧倒させる迫力に満ちていました。奈良の街を実際に歩き、史料を読むだけでは得られない理解を深めた巡検となりました。(2回生・脇坂柊吾)

博物館実習ⅠAの学外講義:大阪くらしの今昔館

2024年12月7日(土)、学芸員養成課程の博物館実習Iの一環として、大阪市立住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館を訪ねました。この館の展示は体験型であるため、大阪の昔の家の造りを間近で見ることができ、自分たちで触れたり、動かしたりすることもできました。また、細かい部分まで当時を再現するような工夫がなされているため実際に江戸時代にタイムスリップしたような感覚にもなりました。今回は町家衆(ボランティアガイド)による非常に丁寧な案内で、面白楽しく大阪の昔の町を学べました。 昔の人々は知恵を絞り、当時できる最大限の工夫を凝らし、現代の私たちに負けないくらいの技術が施されていることに感心しました。また、多くの外国人観光客も訪れており、日本文化が世界中に親しまれていることも実感しました。 今回の授業を通して、様々な展示の工夫を知れたり大阪の歴史を学ぶことができ、貴重な経験になりました。(2回生・森川芽郁)

第2回・甲南映画祭に参加して

歴史文化学科の専門科目である「阪神文化論」を通じ、第2回・甲南映画祭に行きました。今年は「移民」をテーマとした作品を上映しており、2024年12月3日、私たちは中町先生が選んだ『マイスモールランド』(2022、川和田恵真監督)を鑑賞しました。ちなみに事前学習として阪神地域のムスリムコミュニティーの歴史や現状を3回の講義で学びました。この映画は在日クルド人の生活に迫る作品で、私たちと年齢の近い少年少女たちの人間模様を描いています。来場のみんなもとても見入る様子で鑑賞し、上映後は会場から多くの感想の声が聞こえました。決して遠い存在ではない移民について、新たな視点で考える良いきっかけになったと感じます。(1回生・松田颯汰)

第26回 九州西洋史学会若手部会に参加して

2024年12月1日(日)、第26回九州西洋史学会若手部会がオンラインで開催され、私は「17 世紀末ニューイングランド植民地におけるセイレム魔女騒動の拡大―裁判資料の分析を中心に―」という題目で報告しました。報告会への参加を通して、内容をまとめて発表することだけにとどまらない経験が出来ました。卒業研究の中で一番言いたいことは何なのか、そして、それを伝えるためにどのように内容を組み立てるべきなのか、ということを深く考える切っ掛けになりました。また、発表に対してたくさんの質問をいただいたことで、無意識の先入観や見落としていた観点に気付かされました。発表だけでなく、その準備においても、学ばされることがとても多かったです。(4回生・井上結稀)

基礎演習IIのフィールドワーク@丹波篠山城下町

2024年11月10日、基礎演習Ⅱの一環として、私達1年生は丹波篠山を巡見しました。場所は主に城下町の重伝建地区(武家地と商家町)と篠山城跡です。当日は雨予報を覆して見事に晴れ、気温もちょうど良く、絶好の巡見日和でした。巡検は基礎ゼミのメンバーに分かれ、各班が自由に実施しました。私は歴史美術館に展示される過去の京や東海道周辺を描く大きな地図がたいへん見応えがあり見入ってしまいました。また、篠山城跡の石垣は想像以上に迫力があり実際に見て驚いた学生も多かったと思います。この篠山城は大坂城と豊臣恩顧の大名を分断する目的で築かれたそうです。現地に赴き自分の目で見て、感じてみることをこれからも大切にしたいと思いました。(1回生・佐々木彬人)

各ゼミの巡見ルート(後日に地理学の諸問題Ⅰの授業で作成)