2025年度卒業論文・真田実佳(髙田ゼミ):近代ヨーロッパにおける猫のイメージールネサンス以降の絵画、文学、音楽を素材としてー

卒論では、貝原伴寛の研究を基に、18世紀を大きな転換期として文学、絵画、バレエ・音楽における猫の表象とイメージがいかに変化したのかを分析した。その結果、各ジャンル特有の表現様式が確認できた。絵画では、愛らしさや官能性が強調され、文学では、猫にまつわる魔術性が再解釈されはじめるとともに、猫が意志を持った存在として表現されるようになった。また、バレエ・音楽では、人間と対等に舞台空間を構成する存在として描かれた。これらに共通の傾向として、猫が人間に操られる記号から独自の意志を持つ主体として描かれるようになったことが挙げられる。このような表象の変化は、動物観の変化と、人間中心主義の揺らぎが、芸術表現の中に反映されたものであると考えられる。

マルグリット・ジェラール原画/ジェロ―・ヴィダル版画「猫ちゃんの勝利」(1787)出典:National Gallery of Art (https://www.nga.gov/collection/art-object-page.2977.html)

2025年度卒業論文・宮崎華菜子(出口ゼミ):十日えびすの縁起物-作り手への聞き取り調査から-

本論では、十日えびすで扱われる縁起物に注目し、その性質について考察した。えびす神は古くから海の守り神として信仰され、室町時代に漁師たちが漁獲物を市場へ持ち込み始めてからは商売の守り神としての一面をもつようになり、その信仰は現在まで続いている。十日えびすでは様々な縁起物が売り出されるが、そのうち福箕という縁起物が最も古く、考案されたのは明治時代である。この時代から縁起物を作り続ける株式会社エビスシマダにおいて聞き取りを行ったところ、縁起物の意味や効果を重視する売り手・作り手に比べ、作り手は縁起物の意味を深く認識しない印象を受けた。縁起物を生み出したのは作り手側であるが、縁起物がどのような力を有するかを決定するのは、買い手や売り手などの実際に縁起物を手にする側の人々であり、その価値は精神的な部分にあると考える。

写真:「十日えびすで販売される縁起物」(撮影日)2025年10月21日(撮影場所)株式会社エビスシマダ