卒論では、貝原伴寛の研究を基に、18世紀を大きな転換期として文学、絵画、バレエ・音楽における猫の表象とイメージがいかに変化したのかを分析した。その結果、各ジャンル特有の表現様式が確認できた。絵画では、愛らしさや官能性が強調され、文学では、猫にまつわる魔術性が再解釈されはじめるとともに、猫が意志を持った存在として表現されるようになった。また、バレエ・音楽では、人間と対等に舞台空間を構成する存在として描かれた。これらに共通の傾向として、猫が人間に操られる記号から独自の意志を持つ主体として描かれるようになったことが挙げられる。このような表象の変化は、動物観の変化と、人間中心主義の揺らぎが、芸術表現の中に反映されたものであると考えられる。
