2024年3月15日、私たち地図班は巡検で神戸周辺を訪れました。巡検では布引の滝から、布引水源地水道施設(布引五本松堰堤など)、新神戸駅とトンネル、神戸移民ミュージアム(旧国立移民収容所)、KIITO(旧生糸検査所)、神戸税関庁舎、神戸港発掘現場など、主に近代神戸の土地や歴史に関わる多くの場所を見学しました。布引の滝は「日本の滝百選」に選ばれたこともあり、最も上流にある雄滝は圧巻でした。神戸移民ミュージアムでは、神戸から海外へ渡航した人々の出航前と移住後の生活やコミュニティについて理解を深め、旧生糸検査所や神戸税関では、神戸の港町としての歴史や、貿易の現状を実感できました。今回の巡検では身近な神戸を深く知ることのでき、充実した一日となりました。(1回生・小林奈波 )
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2023年度卒業論文・柳 天乃(鳴海ゼミ):和紙コレクションの整理と評価
甲南大学文学部歴史文化学科に所蔵されてきた「和紙コレクション」の整理及び評価を行った。この「和紙コレクション」は和紙184点333枚及び関連資料群から構成され、既に詳細な経歴が不明となってしまった資料群である。学科では和紙研究者として知られた寿岳文書が本学在籍時に残したものとも伝わっていた。関連資料群を手掛かりに調べた結果、本学文学部教授・和田邦平とそのゼミ生・瀧川吉則の両名が基幹となって収集したことや、その収集時期が昭和45(1970)年頃であったことを推測した。当時は民芸運動に後押しされた伝統工芸の保存運動が盛んな時代であった。こうした背景を踏まえつつ「和紙コレクション」に対して、資料群全体及び和紙資料一点ずつを評価した。そして整理作業の結果、目録を完成させることができた。今回の成果が、これからの保存や参考資料として活用されることを期待している。
2023年度卒業論文・畑匡洋(鳴海ゼミ):兵器を伴う忠魂碑の景観形成
本論では「兵器を伴う忠魂碑の景観」を研究対象として、その景観に関係する史料群から景観作成の社会システムと広がりを明らかにすることを目的とした。はじめに本論で使用した「忠魂碑と兵器」の史料群の史料論的視角からの考察、そしてこの景観に使用される兵器が処分される兵器=「廃兵器」であることを明らかにした。次にこの史料群の考察を基に、廃兵器が忠魂碑に備え付けられていく時の地域社会や海軍機関の働きやその実際のプロセスを明らかにした。この景観が出来上がり広がっていく要因として、社会制度面での忠魂碑と廃兵器の関係性、在郷軍人会の働き、効率的で合理的な仕組みの社会システムの構築、が背景にあったことを指摘した。なお、本論は「兵器を伴う忠魂碑の景観作成」の前提知識・条件として位置づけられる。
2023年度卒業論文・山城文乃(中町ゼミ):イランのアジール—ゴム市におけるバスト慣習について
イランにおける聖域避難の慣習「バスト」を、ハズラテ・マースーメ廟擁する聖地ゴムに限定することで、時代ごとの姿を明らかにし、また都市の発展と関連づけて考察した。慣習は古く13世紀イルハン朝期にその事例が史料上に見られ、その後もカージャール朝の時代までは確実に引き継がれていた。避難を成立させる聖域の不可侵性はイラン地域を支配した歴代の王朝に認知され、またシーア派聖地として聖廟を含め、ゴム市には多大な後援が行われた。これを背景とする都市の発展とバスト慣習の継続及び流行は相互作用していたと論ずる。
歴らぼ通信22号発刊!
歴らぼ22号を 2024年3月1日付で発刊しました。編集は、 佐藤葵生(3回生)・高岸敬太(同)・網干理子(2回生)・高尾小雪(同)・脇坂柊吾(1回生)・藤本茉由(同)・鳴海邦匡(教員) です。今年度は3号目の発刊となりました。(教員・鳴海邦匡)
2023年度卒論発表会
2024年2月29日に、卒論発表会が行われました。今年度は対面での開催が実現し、オンラインも含め20名近くが参加しました。当日は、河内琉嘉さん、山城文乃さん、廣政リヴさん、大西哲平さん、畑匡洋さんの5名が、それぞれの卒業論文の内容を報告しました。とても質の高い発表を聞くことができ、その後に質疑応答や指導教員からのコメントもあり、充実した時間でした。最後に交流会「卒論とは何か、どう取り組んだらよいか」を開き、実際に、卒論執筆に取り組んだ先輩方から、直接アドバイスを頂ける貴重な機会となりました。実際に参加してすごく刺激を受けました。私自身も、勉強を積み重ね、先輩方のように質の高い論文を執筆できるよう頑張りたいと強く思いました。(2回生・網干理子)
第4回「歴史総合・地理総合」研究会開催
2024年2月25日(日)、6‐34教室において、第4回「歴史総合・地理総合」研究会が開催されました。今回は近隣の高校の先生方にも案内をお送りし、計20名ほどの方々にお集まりいただきました。今回は、北村厚先生(神戸学院大学人文学部)のご著書『大学の先生と学ぶ はじめての歴史総合』(KADOKAWA,2023年)を素材として、井上翔太先生(クラーク記念国際高校芦屋校)と教職をめざす2人の学生(木嶋悟詞・河内琉嘉)のコメント、北村先生の応答、参加者相互の討論を通じて、歴史総合の学び方・教え方について考えました。この本には、「問い」を軸とする歴史総合の学び方がわかりやすく書かれており、より具体的な形でこの科目のねらいと今後の課題を理解することができました。また、学外からの参加者が増えたことも大きな成果でした。今後、地歴教育における中高連携の課題も積極的にとりあげて、研究会のさらなる充実をはかってまいります。(教員・高田 実)
ムスリム・フレンドリー班:「地域と繋がる活動助成金」最終報告会
私たちムスリム・フレンドリー班は、甲南大学地域連携センターによる2023年度「地域と繋がる活動助成金」の最終報告会に参加しました。一年を通して行ったハラールレストランマップ制作活動の総まとめとなるような発表を行うことができ、また発表に対する審査員の方々のフィードバックや他グループの発表を受けて、至らなかった部分、改善点を見つけることもでき、私たちにとっても非常に有意義な時間となりました。ムスリム・フレンドリー甲南の活動も一段落しましたが、この会を通じて、細々としたものになっても続けていくということが大事なのではないか、という気づきを得ることができたのは良かったと思います。(2回生・高尾小雪)
新見ゼミ、奈良巡検
私たち新見ゼミは、2024年1月13日に奈良公園周辺でゼミ巡検を行いました。新見ゼミはアジア史を研究対象とする人が多いですが、この巡検では奈良公園・興福寺・奈良国立博物館・春日大社・東大寺など、日本の歴史を眺めることができる建物を多く見学し、普段とは違った分野に触れることができました。特に、奈良国立博物館で見た絵画の中に鹿がたくさん描かれていて、古くから鹿が人々にとって身近で大切な存在であったことを、身に染みて感じることができました。また、観光に訪れている人はほとんどが外国の方で、世界的に見てもこんなに近い距離で鹿と触れ合える場は貴重なのだなと感じました。 今回の巡検は、現在まで残っている日本の歴史的な文化財や建物を直接見学することができ、日本史についての学びを深める機会になりました。(2回生・堀内空弥)
フィールドワーク@生野銀山
2023年12月10日、基礎演習IIの授業の一環として、生野銀山でのフィールドワークを実施しました。当日は1年生52名が参加し、ガイドの方の案内を聞きながら、博物館の展示を鑑賞したり、坑道の中に入って遺構や遺物を実見したりしました。坑道内は年間を通して気温が13℃程度で、「狸掘り」という手作業の掘り方では、人がやっと通れる程度の穴を一日15センチずつ、這いながら堀り進めたとか。想像以上の寒さと狭さに、驚いた学生が多かったです。学生から寄せられたコメントをいくつか紹介します。
- 今までずっと普通に立って掘削していると思っていたが、鉱石を運ぶためのトロッコが通るスペースが大事で、人の方は通ることができればいいと言わんばかりの細さでとても驚いた。
- この場所で働いていた人がいて、手作業で掘った人たちがいるということを肌で感じられて良かった。今は機械でなんでもできてしまうが、室町時代から人力で掘り続けてきた人の情熱を感じました。また、掘り方が初めは上から下に掘るものだったのが、機械の進化に伴い下から上に掘って石を効率よく回収する方法になったと知って驚いた。
- 現在は、坑道の内と外との気温差を利用して、坑道内にサツマイモやカボチャ、酒が貯蔵されていた。過去の遺跡だと思っていた銀山が今も活用されていることに驚かされた。
- 生野銀山を実際に訪れて、イメージと実態のギャップが大きいとわかったため、フィールドワークに行くのは大切なことだと考えた。
コロナ禍も収まり、ゼミ巡検などで色々なところに行けるようになりました。今後も、このような機会を定期的に作っていきたいです。(教員:新見まどか)