平井健介『日本統治下の台湾―開発・植民地主義・主体』を読む

 この度、経済学部の平井健介先生が『日本統治下の台湾―開発・植民地主義・主体性』を名古屋大学出版会より上梓されたことを記念し、2024年10月22日(火)、この本の読書会を実施しました。歴史文化学科の学生が中心となり、経済学部や他大学の学生も加わりました。
 読書会は、事前に行った準備会において挙げられた疑問のうちから特に気になったものを厳選して質問し、その回答を平井先生から得るという形式で実施されました。先生と学生、または先生同士でのレスポンスが展開するなか、途中白熱した議論となる場面も多々ありましたが、学生が台湾より仕入れたお菓子と台湾茶を片手に、全体を通して和やかな雰囲気で進行することができました。
 台湾の植民地史、特に「開発における植民地性」ならびに「台湾人の主体性」が如何に展開し、発揮されていったのかを深く知る良い機会となりました。また、日本統治下の台湾史を描いた「玉石混交」の歴史書を、歴史学の視点から批判的に検討できる能力を着実に身につけられたように思います。興味のある方は、是非ご一読ください。(4回生・大槻耕央)

第17回 歴かふぇ・世界遺産に住んでみた~歴史と折り合いをつけて生きるフランスの人々~

乾清可先生(社会人類学、自然と人間)

2024年7月12日、第17回・歴かふぇを開催しました。今回は、普段はフランスに在住されている乾清可先生をお招きしました。乾先生は、本学の出身で、前期は講義を担当し、その後はフランスに帰国し南仏のアルビという街で生活しているそうです。アルビは、古くからの司教都市であり、街ごと世界遺産に登録されている歴史のある街です。歴かふぇでは、現地の写真や映像とともに、フランスでの生活のエピソードをたくさん聞かせてもらいました。「教会と隣り合わせの場所に住むと、鐘の音がよく聞こえる」など独特なお話を通じて、より鮮明に世界遺産アルビの街並みや生活を感じることができました。学生も積極的に質問をし、有意義な時間となりました。(3回生・網干理子)

地図班による神戸巡検

2024年3月15日、私たち地図班は巡検で神戸周辺を訪れました。巡検では布引の滝から、布引水源地水道施設(布引五本松堰堤など)、新神戸駅とトンネル、神戸移民ミュージアム(旧国立移民収容所)、KIITO(旧生糸検査所)、神戸税関庁舎、神戸港発掘現場など、主に近代神戸の土地や歴史に関わる多くの場所を見学しました。布引の滝は「日本の滝百選」に選ばれたこともあり、最も上流にある雄滝は圧巻でした。神戸移民ミュージアムでは、神戸から海外へ渡航した人々の出航前と移住後の生活やコミュニティについて理解を深め、旧生糸検査所や神戸税関では、神戸の港町としての歴史や、貿易の現状を実感できました。今回の巡検では身近な神戸を深く知ることのでき、充実した一日となりました。(1回生・小林奈波 )

歴らぼ通信22号発刊!

歴らぼ22号を 2024年3月1日付で発刊しました。編集は、 佐藤葵生(3回生)・高岸敬太(同)・網干理子(2回生)・高尾小雪(同)・脇坂柊吾(1回生)・藤本茉由(同)・鳴海邦匡(教員) です。今年度は3号目の発刊となりました。(教員・鳴海邦匡)

ムスリム・フレンドリー班:「地域と繋がる活動助成金」最終報告会

私たちムスリム・フレンドリー班は、甲南大学地域連携センターによる2023年度「地域と繋がる活動助成金」の最終報告会に参加しました。一年を通して行ったハラールレストランマップ制作活動の総まとめとなるような発表を行うことができ、また発表に対する審査員の方々のフィードバックや他グループの発表を受けて、至らなかった部分、改善点を見つけることもでき、私たちにとっても非常に有意義な時間となりました。ムスリム・フレンドリー甲南の活動も一段落しましたが、この会を通じて、細々としたものになっても続けていくということが大事なのではないか、という気づきを得ることができたのは良かったと思います。(2回生・高尾小雪)

歴かふぇ16・今松泰先生

2023年12月5日、第16回歴かふぇでは、「歴史と思想」の授業を担当される今松泰先生より、スーフィズムや聖者信仰についての簡単な説明から、バルカン調査旅行のお話を、聖者信仰の対象となった墓廟などの写真を交えつつお話し頂きました。イスラームは絶対的な一神教で硬いイメージが持たれることの多い印象でしたが、今回はそんなイメージを覆すようなお話が多く、むしろ私たち日本人の信仰に似たものがたくさん出てきました。イスラームを象徴する文化とも言えるこの信仰に興味を持って、生徒からたくさん質問が投げかけられたのが印象的でした。(2回生・高尾小雪)

ムスリムフレンドリー班:西成モスク調査

私たち「ムスリム・フレンドリー班」は、 2023年11月4日、西成モスクと大阪のハラールレストランと礼拝所の調査を行いました。西成モスクは新今宮駅から徒歩10分程の場所にあり、交通アクセスが非常に良く、観光客にとっても利用し易い場所でした。モスクは5階建てビルを改装したもので、1階にハラールショップ、2階と3階に女性と男性の礼拝室、4階にはムスリムの子供たちの学習教室がありました。とりわけ印象に残ったのは学習教室で、毎週土曜日に子供と親が一緒にムスリムに関することやアラビア語を学習し、歌や音楽などを通じて楽しく学習する姿はとても独創的で面白いと感じました。(3回生・仲宗根太陽)

歴史の旅企画班の巡検:京都漫画ミュージアム・京都文化博物館

2023年8月3日に歴史の旅企画班として、京都国際マンガミュージアムと京都文化博物館を訪ねた。村上もとか展が開催中の京都国際マンガミュージアムでは、『JIN-仁-』(集英社)や『龍-RON-』(小学館)などの原画やネームを閲覧し、着物の精巧な柄や木の葉の部分をトーンで再現する技術などに圧倒された。近年は、デジタルで描く漫画家が増え、トーンなどもクリック1つで貼れるので、トーンをカッターで切り貼りした跡や、線のはみ出し、ホワイトの痕など、今ではあまり見られないものが見れてとても新鮮だった。また、他の漫画の展示も圧巻だった。出版年代順に天井まで並んでいる漫画だけの本棚や過去の漫画雑誌、付録などが実際に手に取って読めるようになっており、当時読んだ漫画や記憶が蘇えりとても懐かしい気持ちになった。(1回生・青谷尚菜子)

京都文化博物館では特別展『室町幕府滅亡後450年 足利将軍、戦国を駆ける!』を見学しました。今年は室町幕府最後の将軍・足利義昭が京都を追放されてから450年の節目にあたります。戦国の世で将軍たちが直臣団や大名らと取り交わした古文書が展示されており、織田信長の花押のある古文書など、貴重な歴史的資料がありました。展示資料には、京都府所蔵の東寺百合文書(国宝)や、京都大学総合博物館所蔵の教王護国寺文書(重文)などがありました。政争の中、自分の地位や家の存亡をかけて取り交わされた古文書が450年経た今に残っていることにロマンを感じます。几帳面に並んだ文字や筆跡から活字では伝わらない個性も感じ取れて、興味を掻き立てられました。(1回生・下中来夏)

近代資料班:広島・呉巡検④広島

2日目の2023年7月17日、広島市の平和記念公園を訪れ、原爆ドームおよび平和記念資料館を見学しました。原爆ドームを近くで見ると外壁の装飾などを確認でき、かつて産業奨励館だった頃の面影を感じることができました。また、内部にある瓦礫や高熱で垂れ下がった鉄骨からは、原爆の威力が凄まじかったことを感じました。平和記念資料館では、原爆投下後の写真や被爆者の鞄、ボロボロになった服など原爆の悲惨さを伝える資料が多くありました。個人的に印象深い展示品は、幼い子どもが原爆投下時に乗っていた三輪車です。小さな子どもまでもが犠牲になった原爆の実態を目の当たりにしショックを受けるとともに核を二度と使ってはならないという思いが一層強くなったからです。また、館内には被爆後も必死に生きようとした人々の歴史も展示されており、原爆投下が戦後にも深い影響を残したことを理解できました。(1回生・坂本朋磯)

原爆ドーム
平和記念資料館

近代資料班:広島・呉巡検③江田島

2日目の2023年7月17日に江田島を訪問し、海上自衛隊第1術科学校を見学しました。江田島は瀬戸内海の広島湾に浮かぶ島で、1888年に築地から海軍兵学校が移転して以来「東洋のアナポリス」として発展を遂げた場所です。第1術科学校は、海軍兵学校の後継施設であることから当時の面影を色濃く残しており、近代史を学ぶうえで重要な場所となっています。見学の際、幹部候補生学校官舎の玄関床に巡洋戦艦「金剛」甲板のチーク材が使用されていることや、兵学校時代に式典場として用いられた大講堂が、現在も幹部候補生や第1術科学校の学生たちの入校・卒業式に使われていることなどが紹介され、驚きの連続でした。加えて、教育参考館では特攻隊員の遺書や戦艦「大和」より奉納された絵画などの貴重な資料を目にし、価値ある時間を過ごすことができました。(1回生・堀田心温)

旧海軍兵学校生徒館
教育参考館