平井健介『日本統治下の台湾―開発・植民地主義・主体』を読む

 この度、経済学部の平井健介先生が『日本統治下の台湾―開発・植民地主義・主体性』を名古屋大学出版会より上梓されたことを記念し、2024年10月22日(火)、この本の読書会を実施しました。歴史文化学科の学生が中心となり、経済学部や他大学の学生も加わりました。
 読書会は、事前に行った準備会において挙げられた疑問のうちから特に気になったものを厳選して質問し、その回答を平井先生から得るという形式で実施されました。先生と学生、または先生同士でのレスポンスが展開するなか、途中白熱した議論となる場面も多々ありましたが、学生が台湾より仕入れたお菓子と台湾茶を片手に、全体を通して和やかな雰囲気で進行することができました。
 台湾の植民地史、特に「開発における植民地性」ならびに「台湾人の主体性」が如何に展開し、発揮されていったのかを深く知る良い機会となりました。また、日本統治下の台湾史を描いた「玉石混交」の歴史書を、歴史学の視点から批判的に検討できる能力を着実に身につけられたように思います。興味のある方は、是非ご一読ください。(4回生・大槻耕央)

髙田ゼミ、高知へ

高田ゼミの2・3年生は、2024年9月13・14日、高知を訪れました。初日は、高知県立高知城歴史博物館で高知城と高知を治めていた山内家について学びました。また、高知城では道中の石段に苦労しましたが、城塞防衛基地としての城というものに思いを馳せました。その後の高知県立文学館では高知を代表する文学作品に多数触れることができました。なかには“土佐日記”のような広く知られているものもあり、高知の文学が身近なものであることを認識しました。夕食は、土佐料理 司 高知本店で皿鉢料理をいただきました。高知の海の幸が所狭しと並び、五感だけでなく心までも満たされました。2日目は桂浜と高知県立坂本龍馬記念館を訪れ桂浜の絶景を楽しみ、幕末史についての知見を深めることができました。 高知の歴史や文化を学ぶとともに、ゼミ全体の親交を深めることができた有意義な二日間でした。 (2回生・高橋直希) 

第17回 歴かふぇ・世界遺産に住んでみた~歴史と折り合いをつけて生きるフランスの人々~

乾清可先生(社会人類学、自然と人間)

2024年7月12日、第17回・歴かふぇを開催しました。今回は、普段はフランスに在住されている乾清可先生をお招きしました。乾先生は、本学の出身で、前期は講義を担当し、その後はフランスに帰国し南仏のアルビという街で生活しているそうです。アルビは、古くからの司教都市であり、街ごと世界遺産に登録されている歴史のある街です。歴かふぇでは、現地の写真や映像とともに、フランスでの生活のエピソードをたくさん聞かせてもらいました。「教会と隣り合わせの場所に住むと、鐘の音がよく聞こえる」など独特なお話を通じて、より鮮明に世界遺産アルビの街並みや生活を感じることができました。学生も積極的に質問をし、有意義な時間となりました。(3回生・網干理子)

東谷ゼミ巡検:仁和寺・龍安寺・北野天満宮

 2024年6月15日、東谷ゼミは活動の一環として、仁和寺、龍安寺、北野天満宮に訪れました。 最初に訪れた仁和寺宸殿では、東谷先生の解説を交えながら上段の間の折上格天井を見ました。授業で御殿建築については学んでいましたが、実際に見ることができ良い経験になりました。 龍安寺の石庭はとても美しく、外国人の方や修学旅行生など多くの観光客で賑わっていました。写真で何度も見ていましたが、シンプルな中にも力強さを感じました。世界遺産として文化の違う海外の人にも伝わるものがあるのでしょう。龍安寺から北野天満宮へ移動の途中で洛中洛外の境を見ました。地図上の線ではなく、川を境に土地の高さが変わっており、一目でわかるようになっていました。 最後に北野天満宮を見学。北野天満宮は菅原道真公を祀っています。地元に天神さんがあるため親しみを覚えました。本殿の欄間は孔雀や牡丹などの彫刻が施されていました。非常に美しく、総本社にふさわしい装飾だと思いました。参加者の多くが学業成就をお願いしていたことと思います。 今回の巡見では普段授業で習っていることを再確認でき、先生の解説で新たな発見もあり貴重な時間を過ごすことができました。(2回生・下中来夏) 

新見ゼミ、大阪巡検

私たち新見ゼミでは、2024年5月25日に大阪天満宮と東洋陶磁美術館で巡検を行いました。大阪天満宮は、菅原道真公を祀る由緒ある神社です。また、東洋陶磁美術館は、中国陶磁をはじめとして韓国陶磁・日本陶磁などが鑑賞できる美術館です。新見ゼミはアジア史を主に研究する人が多いので、今回の巡検で研究対象について知見を深めることが出来ました。特に東洋陶磁美術館では、作られた時代や国などの背景によって、陶磁器にも様々な特色があるのだと感じました。また、重要文化財や国宝に指定されている陶磁器も鑑賞することができたので、大変貴重な機会になりました。(3回生・廣尾格)   

※添付は、巡検の前にはゼミの班で作成したパンフレットの一部です。巡検中はワークシートを使って中国陶磁器の特色を学びました。

民博新歓遠足

2024年4月13日(土)、コロナ以来5年ぶりの歴史文化学科1回生の国立民族学博物館(吹田市万博公園)の新歓遠足が行われました。前期の基礎演習のままに9つの班に分かれて、展示について気になることをテーマとしてグループ発表(1回生を中心に、2回生以上のLAが発表を支援した)をやりました。歴史好きの皆さんにとって、展示にも、発表にも中々満喫できました。牢晴の天気と春爛漫の候でコロナの陰鬱を一掃して、5年ぶりの新生のような、元気満々の雰囲気に新歓遠足を過ごしました。(3回生・王浩宇)

第4回甲南大学西洋史研究会開催

2024年3月18日(月)14:00~18:00、歴史文化ラボラトリで、第4回甲南大学西洋史研究会が開催されました。今回は、林孝洋先生(「西洋史研究」担当)に、「向こう岸からのリソルジメント―亡命者の脱神話化と社会史への注目―」と題する報告をいただいた後、阿久根晋先生(「文化交流史」担当)にコメントをいただきました。「亡命者」としてくくられてきた人々の固定的なイメージを、社会史的手法を用いて、生活世界の実像から見直す刺激的な報告をめぐって、学生からも多くの質問がだされ、活発な議論が展開されました。続いて、他大学大学院への進学を決めている村田愛誠氏は、卒論をベースとした「「統治する女王」1830年代~1870年代―女性運動におけるヴィクトリア女王の表象―」という報告を行い、これまでの成果と今後の課題を確認しました。また、今回の研究会では、「他大学の大学院でどう学ぶか」についても話し合いました。この面で多様な経験を持つ先生方に質問しながら、大学院進学の方法、進学先での学び方、その楽しさと難しさについて、話し合うことができました。近年、本学科からも国公立の大学院へ進学する人が増えています。学部での学びをさらに深めようとする人が増えていることは、学科の知の活性化という点で喜ばしいことです。(教員・高田 実)

地図班による神戸巡検

2024年3月15日、私たち地図班は巡検で神戸周辺を訪れました。巡検では布引の滝から、布引水源地水道施設(布引五本松堰堤など)、新神戸駅とトンネル、神戸移民ミュージアム(旧国立移民収容所)、KIITO(旧生糸検査所)、神戸税関庁舎、神戸港発掘現場など、主に近代神戸の土地や歴史に関わる多くの場所を見学しました。布引の滝は「日本の滝百選」に選ばれたこともあり、最も上流にある雄滝は圧巻でした。神戸移民ミュージアムでは、神戸から海外へ渡航した人々の出航前と移住後の生活やコミュニティについて理解を深め、旧生糸検査所や神戸税関では、神戸の港町としての歴史や、貿易の現状を実感できました。今回の巡検では身近な神戸を深く知ることのでき、充実した一日となりました。(1回生・小林奈波 )

2023年度卒業論文・柳 天乃(鳴海ゼミ):和紙コレクションの整理と評価

甲南大学文学部歴史文化学科に所蔵されてきた「和紙コレクション」の整理及び評価を行った。この「和紙コレクション」は和紙184点333枚及び関連資料群から構成され、既に詳細な経歴が不明となってしまった資料群である。学科では和紙研究者として知られた寿岳文書が本学在籍時に残したものとも伝わっていた。関連資料群を手掛かりに調べた結果、本学文学部教授・和田邦平とそのゼミ生・瀧川吉則の両名が基幹となって収集したことや、その収集時期が昭和45(1970)年頃であったことを推測した。当時は民芸運動に後押しされた伝統工芸の保存運動が盛んな時代であった。こうした背景を踏まえつつ「和紙コレクション」に対して、資料群全体及び和紙資料一点ずつを評価した。そして整理作業の結果、目録を完成させることができた。今回の成果が、これからの保存や参考資料として活用されることを期待している。

和紙コレクションの収蔵状況 筆者撮影(2023/01/04)

2023年度卒業論文・畑匡洋(鳴海ゼミ):兵器を伴う忠魂碑の景観形成

本論では「兵器を伴う忠魂碑の景観」を研究対象として、その景観に関係する史料群から景観作成の社会システムと広がりを明らかにすることを目的とした。はじめに本論で使用した「忠魂碑と兵器」の史料群の史料論的視角からの考察、そしてこの景観に使用される兵器が処分される兵器=「廃兵器」であることを明らかにした。次にこの史料群の考察を基に、廃兵器が忠魂碑に備え付けられていく時の地域社会や海軍機関の働きやその実際のプロセスを明らかにした。この景観が出来上がり広がっていく要因として、社会制度面での忠魂碑と廃兵器の関係性、在郷軍人会の働き、効率的で合理的な仕組みの社会システムの構築、が背景にあったことを指摘した。なお、本論は「兵器を伴う忠魂碑の景観作成」の前提知識・条件として位置づけられる。

忠魂碑:「忠魂碑」意賀美神社・大阪府枚方市 1928(昭和3)年 11 月建立 筆者撮影(2023.11.8)
史料:「廃兵器無償下付の件 40 口径 12 糎1号徹甲弾 10 個」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C04016346800、公文備考 兵器7止 巻 92(防衛省防衛研究所)