2024年度卒業論文・福重湖雪(髙田ゼミ):近代日本におけるクリスマスの定着と贈答慣行の変化 ー「自発的贈与」の誕生と「義務的贈与」との共存-

本論文は、近代日本におけるクリスマスの定着過程と、それが日本の伝統的な贈答慣行に与えた影響を分析した。明治大正期の『風俗画報』『主婦の友』「読売新聞」「朝日新聞」などの一次資料を分析した結果、1910年代には都市部でクリスマスが宗教行事ではなく、家庭内の贈答文化として浸透していたことが明らかになった。また、歳暮が「社会的義務」として贈られるのに対し、クリスマスプレゼントは「自由な贈与」として定着した点を、モースの『贈与論』を基に考察した。義務的贈与と自由な贈与は異なる形をとりながらも、どちらも「人と人とのつながり」を深めるという本質を共有し、現代においても形を変えながら共存していることを論じた。

「クリスマスプレゼント」 (出典)『主婦の友』第2巻、12月號、1918年、78-79頁