私は「平安貴族の夢‐小右記を例に‐」というテーマで、平安貴族が見ていた「夢」に焦点をあて、平安時代の人々は目に見えないモノに対して実際にはどう捉えていたのかについて卒業論文を書きました。卒業論文を書く前に私がしたことは、参考史料の小右記を読みこむことです。小右記は全て漢文で書かれていたのでこの言葉はどういう意味なのか、といったことを一つ一つ調べていくのがとても大変でした。時には本当にこの意味でいいのか悩み、どうしても分からない時は先生に聞きにも行きました。ただ史料の読み込みや分類ごとに分けるといったことをしっかりしていたおかげでその後の論文を書く工程はかなりスムーズに進めることができたので、今では時間をかけてよかったと思っています。それでは皆さん、卒業論文頑張ってください!!
2017年度卒業論文・横田和大(東谷ゼミ):江戸時代における殺人事件の実態―長崎奉行所判決記録『犯科帳』からの一考察
『犯科帳』とは、長崎奉行所が寛文6年(1666)から慶応3年(1867)にかけて発生した事件の判決内容を書き記した史料である。私はこの史料を活用して当時の殺人事件の実態を少しでも明らかにしようと考え、『犯科帳』全11巻の中から208件の殺人事件の判例を抜き出した。そして江戸時代を通しての発生率、事件内容、判決内容、創作と史実との違いという4つの大きなテーマについて法制史に関する文献なども活用して分析した。
その結果、以下のことが判明した。発生率は日本全体、あるいは長崎の地に関係する世情が殺人事件の増減と対応する。事件内容については、口論や酒に酔う、男女間のもつれなど様々な犯行理由があり、犯行に使用された凶器も多岐にわたることが明らかとなった。続いて判決内容では、当時と現代とでは殺人事件への判決の基準は異なるものの、裁きを下す側が事件を精査した上で理非曲直を糺そうとしていたことが窺い知れた。また『大岡越前』や『遠山の金さん』等の時代劇で見られるような場面は、やはり史実ではほとんど見られないことがわかった。
このように、私は多少ながらも江戸時代の殺人事件の実態を明らかにすることができたと感じている。
図:明和4年(1767)に強盗殺人を犯した僧の判例
出典:『犯科帳』3巻(犯科帳刊行会、1958年)、1頁。
2017年度卒業論文・椿野佑太(鳴海ゼミ):指図論-篠山藩青山家文書と大坂諸繪圖の事例を中心に-
私は、篠山藩青山家文書の古地図や「大坂諸繪圖」を主な素材に、指図の定義やその有用性を検討しました。これまで指図は主に建築学の枠組の中で個別に研究されてきました。しかし、歴史学や人文地理学の分野での議論は乏しく、地図として体系的にまとめられていません。そこで卒論では、各時代を通して指図がどのように定義されてきたかを明らかにし、また、指図の活用例として、武家社会における儀礼空間の理解の一助として検討しました。卒論では、指図の役割を人・物の移動の視覚化と結論付けましたが、それは役割の一部にすぎません。このテーマに取り組んだ理由のひとつは、扱った「篠山藩青山家文書」「大坂諸繪圖」への関心が少しでも高まればと願ってのことでした。指図を含む資料の研究発展の一助となればと思います。
図 「多田院繪圖」(篠山市教育委員会所蔵「篠山藩青山家文書」より)
中町ゼミ合宿@和歌山県串本町
中町ゼミは2018年3月1・2日の2日間、和歌山県串本町でゼミ合宿を行いました。初日は8時半に新大阪駅集合して9時過ぎの電車に乗る予定でしたが、強風の影響で運行中止になり、結局13時半ごろの電車に乗りました。しかし周参見駅で強風のため停止してまた運行中止となったのでそこから串本駅までバスで行くことになりました。初日に行く予定だったトルコ記念館には行くことができず、その日はそのまま宿に向かい夕食、宴会を行いました。ゼミ合宿のような機会は今回が初めてであり、2回生みんなで話すこともあまりなかったので、いい機会になりました。またこのゼミ合宿では、1回生もいっしょにいきました。みんなの親睦が深まった合宿になりました。2日目は、初日に行く予定だったトルコ記念館に行きました。事前に勉強した人もしてない人もガイドの話を聞いたり、資料を見たりして新しい知識を得たことだと思います。この2日間、ゼミの仲間といっしょに勉強でき非常に有意義な時間を過ごせました。(2回生・金屋修平)
「篠山プロジェクト」(歴らぼ地図班)第二弾企画完成!
「歴らぼ地図班」を中心とする「篠山プロジェクト」メンバー(代表:4回・椿野佑太)は、2015年度企画(歴らぼ通信6号に記事を掲載)を進展させるために、地域連携センターの支援を受けて第2弾の活動を実施しました。活動内容は、篠山市民に青山家文書の存在をより知ってもらうために、篠山城や城下町の絵図を紹介するというものです。ただし、これまでに十分な調査が実施されていないことから、私達は、青山歴史村や亀岡市文化資料館などで調査を実施しました。その成果は冊子(4頁)とパネル(3枚)にまとめました。それらは丹波篠山デカンショ館と篠山城大書院に設置し、市民や観光客の目にふれることになりました。作業は大変でしたが、私達の活動がこうして形になって嬉しく思います。(3回・上谷ひな、水田佳奈)
歴らぼ通信09号発刊!
歴らぼ通信09号を、2018年1月28日付けで発刊しました。編集は、水田佳菜(歴らぼ編集部代表・3回生)、八木はるか(3回生)、村尾聖華(3回生)、立川亮太(3回生)、武田卓司(2回生)、鳴海邦匡が担当しました。本HPからもダウンロードできますので、みなさま是非ご覧下さい。(鳴海邦匡)
「加古川「知」を結ぶプロジェクト」成果報告会@歴らぼ中世班
2018年1月13日、歴らぼ中世班は「加古川「知」を結ぶプロジェクト」成果報告会に参加しました。この企画は甲南大生が加古川市の地域課題を調べ、その解決のための提案をするというものです。
私達は市内の鶴林寺を素材に発表しました。鶴林寺は播磨地方有数の古寺で、聖徳太子が建立したと伝えられます。本堂は国宝に指定され、そのほか多くの文化財を所有しています。人気の観光地になる要素はあるものの、現状は市外の人々に知られておらず、また、鶴林寺に行ったことのない加古川市民も少数ながらいます。私達はこの課題を解決するために、鶴林寺に人を呼び込む提案をしました。
発表はとても緊張しました。市役所や一般の方々など多くの人が発表を聴いていると考えるだけで、緊張で手が震えました。この企画で得た経験や反省を次に活かしていきたいです。(2回生・金澤舞奈)