本論は、大きく大革命期、19世紀、第二次世界大戦期に分けて構成されており、三色旗の誕生とそれからの変容をデザインとレトリックの視点から論じている。フランス三色旗の誕生は、フランス大革命期にまで遡る。この標章はパリで生まれたが、「革命祭典」という場によって国全体に広められていき、この3色がフランスにふさわしいということで国旗に定められた。ただ実際に、「国民」全体に三色旗が定着したわけではなかった。ここで重要になったのが、国旗をめぐる人々の「衝突」である。三色旗には、対抗関係にある標章が存在しており、それが「白旗」と「赤旗」であった。本稿では、これらとの衝突の度に、三色旗が人々に記憶されていき、徐々に三色旗が定着されていったと主張する。