2020年度卒業論文・垂水颯輝(髙田ゼミ):神聖ローマ帝国における帝国郵便の成立と発展 ―皇帝の役割を中心に―

16世紀以降のハプスブルク家の台頭は当時の社会システムにも大きな変革をもたらしました。それまでの輸送システムは徒歩や騎馬による飛脚制度が主流でした。しかし、1490年にハプスブルク家のマクシミリアン1世がヴェネツィアで飛脚問屋を営んでいたタクシス家と郵便契約を結び、それまでの飛脚制度ではない郵便制度という新しい社会システムが誕生しました。この郵便制度は通信・運輸の基幹になるとともに、「コミュニケーション革命」の原動機として、新聞・雑誌・旅行・金融等の発展を支えました。今回の卒業論文では、その郵便制度の成立と発展の過程、それらに関する皇帝の役割を中心に論じています。


ベルンハルト・シュトリーゲル「皇帝マクシミリアン1世の家族」(1515)
https://ja.wikipedia.org/wiki/マクシミリアン1世_(神聖ローマ皇帝) より引用 

2020年度卒論発表会

2021年3月9日(火)に、5‐23教室において卒論発表会が開催されました。今年は感染症対策のため、オンラインと対面の併用で行われましたが、学生と教員合わせて30名が参加しました。垂水颯輝さん、福田綾香さん、藤原敬弘さんの3名が卒業論文の内容について報告しました。傑出したそれぞれの発表に対し、オンラインでの参加者からも質問が出て、活発な議論が行われました。報告会の後には卒業論文にいかに向き合うかについて話し合う懇談会が行われ、教員と学年が入り混じって盛り上がりました。人と人の集まりが制限されるコロナ禍だからこそ、「チーム戦」としての卒論を取り組む大切さを認識することができました。(3回生・大下隼平、三谷晃弘)

2020年度の講義を振り返って

2020年度、甲南大学では新型コロナウイルスの影響により、特に前期はオンラインでの授業が中心となりました。初めての授業形態であり、最初は、通信環境のトラブルやネット上での質問など、戸惑うことも多かったです。また、いつもなら学科で行っているフィールドワークやグループワークといった、実習的な学びも困難となりました。今年度の授業を通して、今まで当たり前に出来ていた実際に肌で感じる学びの有難さを痛感しました。オンライン化が進んでいく世の中において、歴史や文化を学ぶためには自ら動いて調べることは不可欠です。一刻も早く事態が終息し、みんなが共に活動しながら学べる日が来ることを願っています。(3回生・岩本佳歩)

アジア史史料研究Ⅲ・Ⅳ(担当:中町先生)の紹介

私は、中町先生が担当するアジア史史料研究Ⅲ・Ⅳの1年間の講義を通してペルシア語を学びました。前期では文字や基礎的な文法をオンライン講義で学び、後期からは再開された対面講義において、辞書を用いて資料を読解するという実践的な講義が行われました。ペルシア語は今まで学んできた言語とは大きく異なり、文字の形や音の響きは非常に興味深く、資料における詩的かつ独特な言い回しはとても面白いものでした。また、ペルシア語で簡単な自己紹介が出来るようになったり、他のアジア史の講義で登場するアラビア語の単語がなんとなく読めるようになったりと、講義外でも学習の成果が見られたのが、とても嬉しかったです 。(2回生・徳留亜美)

講義のノート

コロナ禍、はじめての対面授業「基礎演習Ⅱ」を受講して

コロナ禍、はじめての対面授業「基礎演習Ⅱ」を受講して

2020年度後期の基礎演習Ⅱにおいて、私達は「歴史を学ぶこと」「自ら赴き調べる事」の大切さを学びました。これまで歴史は年表や出来事、人物を学ぶのがメインでしたが、自らの足で現地に出かけ、そこで得た発見から考察するといった歴史の学習方法を体験できました。また、歴史を学ぶことは現代の社会問題や課題の発見につながることが分かりました。現地に赴いて調べてみると、行ったからこそ分かること、身近なのに知らなかった歴史、現地で出会えた方々など、フィールドワークの大切さを知りました。この講義は歴史の知識だけでなく、何かもっと多くのものを得られた授業だったと思います。(1回生:河内琉嘉・梶原咲良菜)

野寄地区界隈でのプチフィールドワークの写真

歴かふぇ10:長岡徹郎先生

編集部では、2021年1月6日(水)、本校で哲学の講義を担当されている長岡徹郎先生をお招きし、第10回歴かふぇを開催しました 。「日本文化鑑賞のコツって何!? 比較文化から学ぶ日本文化のおもしろさとは」をテーマに、先生の趣味である茶道をメインとして、実際に茶道の道具を披露しつつお話頂きました。例えば、茶道の茶碗に外国製の物が使用されるように外国文化の影響が見られたり、当初「わび・さび」は良い意味として使われていなかったりと、意識せず誤解してしまっている点が多々あることを知りました。日本に暮らしながら、今まであまり意識してこなかった日本文化について、今回のお話しを契機に理解の一歩を踏み出せたと思います。(3回生・住田七海)

お話の様子(歴史文化ラボラトリにて)

博物館の見学@博物館実習ⅠA

2020年12月6日、私は、博物館実習Ⅰにおける集中講義の一環として、神戸ランプミュージアムと神戸市立博物館の展示を見学しました。それはコロナのなか、ようやく実現できた見学でした。博物館の展示は、こうした状況下だからこそ伝わる内容もあり、神戸市博では、Twitterを活用して特別展の宣伝を促すパネルもありました。コロナの流行によって来館者が減少した博物館をどう支えるのかを考える事は、学芸員課程を履修する私達にとって重要な課題であると今回の見学で学ぶことが出来ました。(2回生・中村紗彩)

2020年度・九州西洋史学会若手部会への参加

2020年11月29日、九州西洋史学会若手部会に参加しました(コロナ禍によりZoomで開催)。研究報告会には7大学から12人の発表者が集まりました。髙田ゼミからは、私(「フランス革命期の文学における理性と性の解放」)と田口智子(「近代イギリスにおける精神医療の脱施設化」)が発表しました。質疑を通して、自分のテーマと当時の政治や社会との関わりや、その歴史的文脈への位置付けなど、多くの今後の課題を見つけました。初めての参加でしたが、実りのある経験となりました。(3回生・栫 晴哉)

当日の報告会のちらし

中町ゼミZoomインタビュー

私達中町ゼミでは、2020年11月19日のゼミ終了後、2名のエジプト人女性とzoomを通じて交流しました。今、授業でコロナについて取り上げていることから、他国の状況をリアルタイムで聞けるという貴重な機会を頂くことができ、事前に考えた質問に対し、とても上手な日本語で答えて頂きました。その結果、エジプトも日本も特に違いはなく、コロナと向き合っている状況を知ることができました。このような状況だからこそ実施できた今回の授業に対し、協力して頂いた2名のエジプト人女性の方々に感謝しています。(3回・橋本知子)