未利用熱マネジメントに向けた革新的熱電変換ナノ材料の開発
ナノ材料工学研究所では、甲南新世紀戦略研究プロジェクトとして採択された課題「未利用熱マネジメントに向けた革新的熱電変換ナノ材料の開発」を推進します。本研究課題は、地球上に存在している最大の未利用エネルギーである「熱」を、利用可能な「電気」エネルギーに変換し、地球温暖化および環境負荷を低減することが可能な革新的ナノ材料を開発することを目的としています。これにより、熱マネジメントにおける3R(Reduce, Reuse, Recycle)のうち最も開発が遅れているRecycleが可能となり、SDGsにおける目標「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「13.気候変動に具体的な対策を」に対して貢献することを目指します。
本研究では、有機材料と無機材料をナノスケールで複合化し、制御された「構造欠陥」をナノ構造中に導入することで、材料の電気伝導および熱伝導を制御する新しい学術的方法論を創出するとともに、地熱、太陽熱および生体熱などの自然発生熱に加えて、多くの産業プロセスや建物などで発生する人工熱など、未利用熱を有効利用可能なエネルギー変換素子を開発し、将来的な社会実装を目指します。
本研究において取り扱う材料は、「炭素化合物(有機)」と「金属(無機)」を主要成分とする有機−無機複合材料であり、上記の目的の達成に向け、本研究では以下の4項目を具体的研究課題としています。
(1) シングルナノサイズの有機−無機複合ナノ結晶の精密合成技術の確立
(2) 複合ナノ結晶前駆体の焼結過程における結晶成長ダイナミクスの解明
(3) ナノ構造と熱電変換特性との相関の明確化
(4) プロトタイプ薄膜型熱電変換素子の作製